COLUMN
コラム
そもそもHEAT20って何?という方のために
2021.12.26
家の性能
住宅性能のことを調べると出てくるHEAT20という基準
一体何なんだろうという方のために少しまとめてみます。
「HEAT20」とは、地球温暖化とエネルギー、そして居住者の健康と快適な住まいを考え、2009年に研究者、住宅・建材生産者団体の有志によって発足した「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」団体の略称(呼称)です。英語では「Investigation committee of Hyper Enhanced insulation and Advanced Technique for 2020 houses」と表記されます。
Hyper Enhanced insulation and Advanced Technique for 2020
の頭文字をとってHEAT20と略されています
現在は一般社団法人20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会に名称が変更になっています。
HPはコチラ http://www.heat20.jp/
この(一般社団法人20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会)という団体が、断熱性能に応じた独自の断熱基準がHEAT20 G1~G3という基準
現在「HEAT20G1~G3」は断熱の新しい基準の総称としても使われています。
簡単にまとめると住宅性能を考えている一つの団体という認識で差し支えないです。
他にも断熱や住宅性能に関する独自基準を推奨している団体はいくつかあり。プランサーバーも加入してる新住協のQ=1住宅(Q値を1以下)だったりパッシブハウスジャパンのパッシブハウスなど色々あります。
その中でもHEAT20はUA値を基準にグレード分けしてくれているので非常にわかりやすいため、全国的にこのグレードが利用されています。
ではこのHEAT20G1 G2 G3というグレードってどんなものなのか。
瀬戸内エリアは6地域なので6地域の地域区分の基準でお話させていただきます。
※地域区分の詳細についてはコチラ
下の表をご覧ください
G1 G2 G3と数字が大きくなればなるほど性能が良くなっていきます。
プランサーバーの標準仕様の瀬戸内パッシブと瀬戸内パッシブ+はHEAT20 G2 G3クラスです
それぞれの大まかなイメージはこんな感じです。
ざっくりとしたイメージだとZEH レベルよりちょっと上です。
※ZEHについて詳しくはコチラ
ZEHの基準に近いので、多くの瀬戸内エリアで高性能、高気密高断熱と言ってるとZEHかこのレベルが多いのではないでしょうか。
高気密高断熱の最低ラインといったところでしょうか。
それなりの性能ではありますが、高性能か?と言われると少し足りない印象です。普通の家に比べたら抜群に快適なんですけどね。
性能がそこまで高くないので、1台のエアコンで全館空調のような全室暖房がちょっと厳しいかもしれません。
数年前だとサッシの性能があまりよくなかったのでこのグレードをクリアするのも大変だったんですが、『これから新築を建てよう』という方があえてこのグレードにするメリットはあまりないのではないでしょうか。
なぜかというと、窓の断熱レベルを少しあげるだけで、この上のG2レベルにできるから。これから家を建てるのであればHEAT20G2のほうがコスパはいいと思います。
とはいえまだまだ性能の低くて寒い省エネ基準レベルと比べればずっと快適です。高断熱な窓を採用することはメリットが大きいですが、予算の制約で G2 以上の断熱レベルが難しい場合でも、最低でも達成しておきたいレベルだと思います。
HEAT20 G2 レベル
UA値=0.46
室温は概ね13℃を下回らない
H28年省エネ基準から暖房エネルギー約55%削減
プランサーバーの標準仕様、瀬戸内パッシブがこのクラス
ちなみに瀬戸内エリアの基準は北海道の省エネ基準レベルに相当します。
木造の充填断熱で実現可能なレベルであり、全館空調を導入して一年中快適に暮らすことができるので実現したいレベルです。
このレベルまで性能を上げれば比較的低コストで全室連続暖房を行うこともできるので、間取りとエアコンの次第で全館空調も可能です。
瀬戸内エリアだとこのレベルまで来ると日射をどうコントロールしていくかが肝になります。冬場の日射取得を工夫すればかなり少ないエネルギーで暖房が可能になりますが、同時に夏の日射遮蔽も考えなければ夏場にオーバーヒートしてしまいます。
瀬戸内エリアだと南面、西面の窓は遮熱Low-Eを採用されがちですが、断熱Low-E にして冬場は日射を取り込み、夏は外付けブラインドや外付けロールスクリーンで日射遮蔽をするパッシブ設計を取り入れる事をオススメしています。
HEAT20 G3 レベル
UA値=0.26
室温は概ね15℃を下回らない
H28年省エネ基準から暖房エネルギー約75%削減
2022年現在で国内の基準の最高峰のレベルの基準。
プランサーバーの瀬戸内パッシブ+がこの性能です
ここまで性能を上げると瀬戸内エリアだと無暖房でも室温20度以上をキープできます。
断熱性能が高いと冷暖房費を下げることはできるのと同時に、室内の快適性も1段階上のレベルに到達します。
初期費用が若干高くなってしまいますが、瀬戸内エリアで一年中快適で、環境負荷の小さい生活をしたい方にお勧めです。
ただしこのレベルは、日射熱の影響も受けやすくなります。G3に限らずですが、今までどおりの考え方で作ってしまうと、一年中快適な家にはなりません。冬は日射を取得し、夏は日射を遮蔽。秋春の中間期は室内の熱気を抜くための窓の計画や暮らしの工夫が必要になります。
もちろん年中常にエアコンを入れておけば一年中快適にはなりますが、さすがにそれは環境への負荷を考えると微妙なので工夫が必要です。
特に秋春の中間期は住宅性能を上げる事で起こる弊害をクリアするための創り手と住み手の工夫が必須です。
この両方の協力なしには本当に快適な住空間にはなりません。
高性能住宅を理解した会社が建てないと施主様に住まい方の提案もできません。
以上がざっくりとしたHEAT20のG1 G2 G3の基準です。
これから家を建てる方は住宅の性能についてもしっかりと検討してくださいね。