プランサーバー物語 高気密・高断熱への挑戦

高性能住宅との出会い

高性能住宅とは

ある日、その衝撃的な映像”青森の実験住宅”を衛星放送で観ました。

外はマイナス10度の吹雪、室内は20度の全室暖房、温度差は30度です。

それをわが家にもある普通のちいさなストーブ(実験用)で暖房していたのです。

直感で背中に電気が走り、「これだ!」と思いました。

初めて見た「高気密・高断熱住宅」です。

この映像はサテライトホームアカデミーというパラボラアンテナで最新建築情報を送ってくれる有料の工務店支援組織から来たものでした。

早速問い合せると、室蘭工業大学の鎌田紀彦講師らのグループが始めた研究であるということや、カナダにR2000といったすごい住宅がある、ということがわかりました。

 

ここで高気密・高断熱住宅の説明をしておきましょう。

熱の伝わり方には伝導・対流・輻射の3種類があります。

この3つをうまく制御すれば、家の中は1年中春のような爽やかな暖かさ、涼しさになります。

この方法が高気密・高断熱の技法です。

 

当時、高気密・高断熱な家づくりを始めようとすると、大工も建築士も土壁が良いと言う。

なぜ?と聞いてみても誰も明確には答えられません。

「昔から使っているから」とか、「ヤッパー(やっぱり)土壁がええ」とか、当時は、まともな答えは返ってきませんでした。

20年前ならともかく、今でも訳もわからず土壁が良いと言い張るベテラン大工に会ったりするとお前らがこのあたりの家をダメにした、と喧嘩になってしまいます。

もちろん、昔ながらの伝統建築にこだわりのある人なら理解できるが、実用品の住宅に意味も無く使われる、ほとんど断熱性の無い土壁には腹立たしい思いをしています。

真壁構造の昔の家には、それなりに意味はあったのですが、現代では意味の無いことに気付くのに時間はかかりませんでした。

気密性は無く、完全な夏型住宅。

家に湿気が溜まることも無く、住宅は百年以上も長持ちしました。

その代わり、冬は室内外の温度差が無いくらい寒く、部屋を暖めることなど無理な話で、火鉢やコタツで過ごすことになる。

室内外の温度差が無ければ結露の心配も無く、家は長持ちしましたが、人間にはストレスが大きく家は長持ちしても人が長生きができない!

温度差の大きい風呂やトイレで倒れてしまうことも多く、現実に私が小さいころ大変かわいがってくれた隣の一人暮らしのおばさんも、風呂場で倒れて亡くなってしまいました。

土壁の家での急激な温度変化による「ヒートショック」が原因でした。

それは私が会社を始めたばかりのときで、屋根と風呂場の改修をさせてくれたのですが、せめて風呂と脱衣室だけでも断熱改修しておけば…と今でも悔やまれます。

昔は「住みごこち」を大切にするよりも、家を長持ちさせることのほうが重要だったためしかたのない工法だったのではないだろうか。

近くに大量にある材料を使って住居をつくるのは世界中の住宅の定めであり、やむを得ないことでもあったと思えます。

しかし世の中は工業化社会に変り、高性能な断熱材が簡単に、低価格で手に入る時代です。

それを使わずして昔ながらの方法にこだわるのは無知、不勉強のそしりを受けても仕方がないと私は思います。

低気密・低断熱の家づくりは、建築のプロが知ってつくれば犯罪ではないか、とすら思っています。

こんな住宅が戦後「建築基準法」と共に「在来工法」と呼ばれるさも昔からあったようなネーミングで、発注者も、作り手も疑いもせず広まってしまいました。

人のすまない神社仏閣が、千年とか何百年の耐久力を持っているため耐久性がある、と誤解をした。

もしかしたら「昔ながらのつくり方は耐久力があるんだ。法隆寺を見ろ」などと言ったベテラン大工もたくさんいたのではないだろうか?

しかしこの工法は昔からの夏型住宅を少しだけ手直しした新工法と言えるものなのです。

それは、耐震・耐火性をあげるため大壁になり、居心地を良くするためにアルミサッシが使われて気密はそれなりに良くなり、全室暖房は無理でも1部屋だけの暖房ができるようになった。

夏型住宅の採暖方式、つまり手足を暖める火鉢やコタツといったものから、部屋を暖める暖房に生活が変りました。

生活が豊かになるにつれて大量の燃料を暖房に使うことができるようになってきました。

それでも壁の中は昔ながらのスカスカの夏型住宅のままです。

2×4(ツーバイフォー)工法のように、壁で剛性を持たせるためにラス板が打ち付けられ、防水のためにアスファルト紙が貼られました。

その上に防火のためのモルタルが塗られました。

雨がっぱを着て、懐にカイロを入れたような状態です。

壁の中で猛烈な結露が起こりました。

当たり前のように日本の住宅の寿命は短くなってしまいました。

これを防ぐには、北米や欧州の冬型住宅のように壁の中に湿気の入りにくい構造をつくれば良いのは明快にわかっていたのに、日本の多くの工務店もハウスメーカーもつくろうとはしなかった。

それはなぜだったのか?

目に見えるものにしかお金を払わない、日本人の住宅に対する教養の無さと、ハウスメーカーも地場工務店も、目に見えない壁の中にいくらお金をかけても住宅を買ってもらえないことがわかっていたからだと思う。

資本主義では売れる家が良い家です。

いつの時代からかお客様は神様です、とおだてられながら施主のためではなく、売り手の都合でつくられる家ばかりになった。

入口価格は最低に、見栄えは最高にと売りやすい、わかりやすい価値観だけのイメージ戦略をします。

昔のように施主のために凛として「そんな家はつくれない」と言い切れる、プライドを持った頑固な棟梁たちは、いつの間にか社会から淘汰されてしまいました。

日本中で誤解と錯覚の家づくりが始まり、日本の住宅の平均寿命が26年という短いものになってしまった。

北海道で起きた、2~3年で家を腐らせる「なみだ茸事件」がこの暖かい瀬戸内でも20~30年かけて家を腐らせているのではないでしょうか。

これから家をつくる方々に、もうそろそろ気付いてほしい。

現在では少しだけの知識と少しだけのコストで、まるっきり違う、快適で高耐久な家をつくることができるのですから。

ここに書いていることは、ひょっとしたら私の思い上がりかもしれない。

私の目がよく見えないのに「あなたの目の中のゴミを取ってあげよう」と言っているのかもしれない。

それでも、この文が警告になり、読んでくださった方に気付いて欲しいと願っています。

お金をかけた以上の効果があると確信しています!

 

 

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